自分の好き嫌いや主義主張を他人に押し付けるのはやめよう
もう本当にイライラするんですよね。
以下に私の意見を書きますが、私の意見が絶対的に正しいとも誰かに共感してほしいとも思いません。表題にある通り、誰かに押しつけようとも思っていません。
この記事を書こうと思たきっかけは、ATSUGIの炎上の件とその騒動です。
経緯
何が起こったのかを私の認識と、こちらの謝罪表明を照らし合わせて記載します。
- アツギがラブタイツキャンペーンと銘打って、イラストレーターがテーマに沿って制作したイラストを公式アカウントでRT
- その中に一部、性的なことを連想させる表現が含まれていた
- 不適切だと炎上&謝罪
概ねこういう流れだと認識しています。
もう毎度のことですが、Twitter上で一部のフェミニストの方が騒いでいますね。
以前の記事(「フェミニストの話が食い違う理由」を読んで思ったこと)でも書きましたが、私は本来のフェミニズム、すなわち「人は男女によって不当に差別されるべきではない」という思想には賛成します。しかしどうもこれを拡大解釈しているか、あるいは日本語読解能力がない一部の人たちが騒いでいらっしゃるようです。
イラストに関して見られた意見は、「なんで男性が喜ぶイラストを使うの?」「あなたみたいな人は絵師として失格」「女性の尊厳を傷つけている」「男に見られるためにタイツはいてる訳じゃない」など。ひどいと思います。
個人的にこういうのはムカつくので、反論してみようと思います。別に批判している人に届かなくてもいいですが…。
なんで男性が喜ぶイラストを使うの?
「男性が喜ぶイラスト」というのは完全に思い込みだと思います。
たとえばレズビアンではない女性でも、女性に魅力を感じたりすることもあります。それは性的な部分である場合もあれば、性的ではない部分である場合もあります。
たとえば「新しい髪形が可愛い」「ネイルが可愛い」「服や下着が可愛い」などはありますよね?もちろん今回のイラストを見て「タイツって可愛いよね、魅力的だよね」と思う女性もいると思います。
男性からしても、すべての男性が女性を性的なフィルターを通して見ている訳ではないです。もちろんそういう人もいるかもしれませんが、すべてではないですよ。もし、「男性が女性を見る時には、性的に見ている」と決めつけているとしたら、それこそ立派な偏見、差別思想だと思います。
もちろん今回のイラストを見て喜ぶ男性もいます。同様に、喜ぶ女性もいますし、不快に感じる人だって男性にも女性にもいるでしょう。人は本質的に他人とは違うので当然ですよね。
だから批判するのであれば、「私はこのイラストを見て不快になりました」くらいにしておけばいいのに(それも直接言うのはどうかと思いますが)、なぜわざわざ男性とかいう大きな主語で主張するのでしょうか。勝手に決めつけないでいただきたい。
あと、この件で「女性が女性の萌え絵を見て喜ぶ訳がない」というような意見も見ましたが、これも傲慢だと思います。というか視野が狭すぎると思います。「私は女性の萌え絵を見ても別に喜ばない」が本当に言いたかったことですよね。
女性の萌え絵が見れて喜ぶ女性はいますよ。友人や知り合いにも何人もいます。そういう人たちの存在を否定するのはやめてくれませんかね。不快です。
男性だってカッコいいキャラクターとか好きでしょう。それと同じですよ。なんで萌え絵は男性だけが喜ぶって決めつけてるんでしょうね。
私だってyasuカッコいいと思いますし、岡野昭仁の声たまらんとか思いますし、稲葉浩志の腹筋カッコいいと思いますよ。性的嗜好抜きにしても、同性に魅力を感じることって普通にありませんかね?
あなたみたいな人は絵師として失格
すごいですよね。発言の主はさぞ立派な絵師様なのでしょう。
というか仮に発言者が立派な絵師であっても、絵師としか失格と断ずることは誰にもできない(してはいけない)と思います。
そもそも絵師という言葉の最大公約数的な意味は「絵を描いている人」とかでしょう。絵を描いている以上、絵師としては失格ではないですよね。
「いやいやそれは言葉尻を捉えた屁理屈だ。【プロのイラストレーターとして失格だ】という意味に捉えるのが自然である」みたいに思う人もいるかもしれません。だったら最初からそう主張すればいいと思いますが、仮に「プロのイラストレーターとして失格だ」という意味での発言であったとしても、私はそうは思いません。
冒頭の謝罪文書から引用すると、
本キャンペーンにご協力いただいております、イラストレーターの方々に配信いただきましたイラストにつきましては、全て事前に弊社で監修しており、イラストレーターの方々に非は一切ございません。
とあります。
これはまさしくこの通りだと思います。イラストレーターさんはオーダーされたイラストを(おそらく正当な対価を得て)制作したまででしょう。プロのイラストレーターそのものですよね。発注側に監修までされているのであれば非のありようがありません。
おそらく発言の真意は「私が嫌いな絵を描くあなたが嫌い」程度のことだと思いますが、その感情を「あなたみたいな人は絵師として失格」という言葉でしか表現できないのは悲しいですね。もっと自分の中で咀嚼して考えてみたらどうでしょうか。
女性の尊厳を傷つけている
本当ですか?
まぁ傷ついている女性も全くいないとは思わないですが、「こんなに可愛いタイツあったんだ!」純粋にPRが届いている女性もきっといらっしゃいますよね。
Twitterの一部のフェミニストの方々の特徴として、大きい主語や強い言葉、根拠のない断言などが挙げられると思います。それらを活用すればインパクトが大きいですが、内容は別に論理的ではないのでかみ合わないのではないでしょうか。もっと論理的に噛み砕いて発信すれば建設的な話し合いができるのにと、こういう騒動を見る度に思っています。
なんかこう、自分の頭で考えてないような強い言葉を使って批判するのってインパクトがありますが、それに共感するのは、同じく自分の頭で考えてないような人だけに限られている気がします。
問題だったと思うこと
この件で問題だったと私が思うことは以下の点です。
- プロモーションの形式。イラストレーターのツイートをRTするというやり方が(今回は)良くなかった。
- イラストの内容もしっかりと監修すべきだった。
まずプロモーションの方法ですが、今回は「イラストレーターが自分のアカウントでツイートして、それを公式アカウントがRTする」という手法でした。割とよく見かける手法だと思います。
この手法は、「イラストレーターの既存のファンやフォロワーに商品のことを知ってもらえる」、つまり直接自分の商品のターゲット層以外に対してPRできるというメリットがありますよね。この手法が一概に悪であるとは思いません。
ですが、今回はちょっと裏目に出たかなと思います。イラストに対して不快に思った方が、直接イラストレーターさんのツイートに批判リプを送る構図となってしまいました。
もし仮に公式アカウントでイラストを掲載したツイートをして、「この作品はイラストレーターの〇〇さんに描いていただきました」というような紹介をしていたならば、少なくともイラストレーターさんに直接批判が向くことはなかった気がします(メンション付けていたら巻き込みになっていたかもしれませんが…)。
ただこの方法であれば、仮にイラストレーターさんにRTしてもらってもそんなに拡散されなさそうな気がします(これも私の感覚の問題で恐縮ですが)。PR関連ってなんか斜めに見ている人って多そうですよね。私もなんとなくそういう気があります。というか、だからこそステマが横行したり問題になったりするのでしょう。
イラストの内容も、これでOKと判断されたから通っているのですが、ここも少し判断が甘かったのかも?と個人的には思います。
もちろんイラストレーターさんのイラストの魅力と商品の魅力が一番マッチするように構図などをオーダーしているのでしょうが、プロモーションとなると普段のマーケットとは違う層にも届く訳ですから、広まり方が間違ったら今回のように炎上していまいます。
どこまでがOKでどこからがNGかの判断は難しいと思いますが、今回の件に関して言えばちょっと挑戦しすぎたのかも、とは思います。が、私個人としては別に内容が悪かったとは思いません。
ですが、普段はその人が知らないだけで、その人にとって受け付けられない表現物というのは発表され続けています。
イラストレーターに限らず、憲法で表現の自由は保障されていますよね。どのような表現物も自由な訳です。そしてもちろん、それを批判する自由や、視界に入れない自由もあります。
今回の問題は、棲み分けされるべき(と思う人がいる)表現物がプロモーションの一環として、その人の目に入ってしまったことが何よりも不幸なことだと思います。
ですから私は、文句を言うのであればイラストレーターではなく、そのキャンペーンの主催側に言うべきだと思います。ましてや、「絵師失格」「女性の尊厳を傷つけている」といった言葉は本質的ではない上に強い言葉なので、よく考えて噛み砕いてから発信してもらえたら良かったなと個人的に強く思っています。
表題について
で、ここに来て表題の回収をします。
いちいち言うまでもないことと思っていたのですが、世の中には「自分と他人を区別できない人」というのが一定数います。「私が嫌いなのだから男は(女は)みんなこれが嫌いなハズ」という考え方ですね。
私はこういう考え方が嫌いです。ひどく押しつけがましいと思います。
人は本質的に違います。それぞれ育ってきた環境も影響を受けたものも違います。そうやって人は多様性を持ちながら、コミュニティーを形成しています。
「私はこう思う」「私はこれが嫌だ」という主張は常に正です。それは尊重されるべきです。だからこそ、他の人の意見や主張も尊重しなければなりません。
自分が気に入らないことを好きな人がいたとしても、自分が好きなことを嫌いな人がいても、それは別にあなたを否定しているのではなく、ただ各々の選択をしているだけです。
冒頭にも書きましたが、この記事をはじめ私の主張は全て私個人の考えであって、それが正しいとも理解してほしいとも思っていません。ただ、私や私の親しい人たちに色々押し付けてくるのはやめてほしいというだけです。