ヴィーガンに対する漠然とした不信感

こういう書き方は当事者の方々にはとても失礼かもしれませんが、しかし事実なのでそのまま書きますが、私が今まで見てきた自称ヴィーガンの方々は非論理的で押しつけがましい人たちばかりで辟易していました。

私は別にヴィーガンをはじめとした菜食主義とか、あるいはノンベジタリアン(非菜食主義者、野菜だけでなく肉も魚も食べる人。以下ノンベジ)の方々もそれらの特徴だけを理由に嫌ったり貶したりはしていないつもりですし、これからもすることはないと思います。私自身はノンベジですが、思想は趣向・宗教などは個人の自由であり、その人が納得して満足しているのであればどうでもいいと思っています。というか私のコントロールの及ばない領域だと思っています。誰かに自分の考えを聞いてもらうことですら難しいのに、その人の生活に根差した考え方を変えるなんて相当難しいと思いますよ。

そして私も、私の考え方などに対していちいち文句垂れてほしくありません。たとえそれが他の誰かにとって不愉快であってもです。なので、私も個人的に気に入らないとか、自分と異なるということだけを理由に攻撃したり、自分の考えを押し付けたりはしていないつもりです。

しかし、今までSNSで見てきた自称ヴィーガンの人たちの発信はひどいものが多かったです。動物を食べるな、地球環境を破壊している、菜食主義者になるべきだ。などといった文句が発信されていました。彼ら(彼女ら)はヴィーガンがどれだけ環境や健康に良い影響を与えるか、そして肉を食べるのがどれだけ環境や健康に悪いかをアピールします。しかし、それは彼ら(彼女ら)が自分の頭を使って考えたとは思えないほど、口をそろえて似たような文言ばかり繰り返します。

もし本当に菜食主義が素晴らしいものであるならば、その人たちの実感を自分の言葉である程度発信できると思います。菜食主義の良い点を淡々と論理的に説明すればまだ聞く耳を持ちますが、「じゃあ逆に聞くけど動物が好きなのになんで動物を食べようなどと思うの?」と論点をずらしたようなことを言い出します。ハッキリ言って詭弁ですよ。全く別の話です。菜食主義が絶対的にどう素晴らしいかを聞いているのに、非菜食主義と比較する必要なんてどこにもないですからね。ついにはノンベジを否定するような言い方、あるいはノンベジが環境破壊を加速させているかのような言い方、挙句の果てには菜食主義者になろうなどと押し付けているような文言まで目にする始末です。手に負えないですよ。

同様に、ヴィーガンの方に向けたリプなんかでも見ていて不快になるものがあります。「野菜ばっか食べてると思考能力落ちるのかな?」などといった差別や侮蔑のような発言や、焼いた肉の画像を添付するといったリプです。後者は、一度尊敬している人がそういった行為をしているのを見てブロックしそうになりました。いくら自分と考え方が異なっていたとしても、いくらその人の言葉が拙かったとしても、差別発言や嫌がらせ1が正当化される理由にはならないと思います。気に入らない意見であれば見なきゃいいのに、なんでいちいち除いて攻撃するんでしょうか。いったいどういう心理なんでしょうか。

上記の通り、一部のヴィーガンの方の「非論理的で押しつけがましいこと」や、一部の非ヴィーガンの「ヴィーガンに対して平気で差別や嫌がらせをする」という様相が苦手でした。

私は一ヶ月後、この牛を殺します。?私がヴィーガンにならないと決めるまで?

そんな背景があるなか、上記記事を読みました。

私が漠然と感じていた不信感のようなものが書かれていました。長い記事ですが、ぜひ一度読んでみてください。

また、ヴィーガン側・非ヴィーガン側どちらにも寄り添った記事になっていると個人的には感じました。フェアな感じがして個人的にはとても良い印象を受けました。

誰がどんな記事を書くにしても一切のバイアスがかからないなんて不可能だと思いますが、両者の視点から事実を書くというのはとてもフェアだと思います。

そして実際に牛舎で牛のお世話をして屠畜まで見届けるというのはなかなかできることではないと思います。この筆者さんを心から尊敬します。

私が気になったのは、記事内でインタビューを受けていらっしゃった海月ダンテさんの発言です。

yuzuka「ちなみに今もお話に出て来ましたが、ヴィーガンの方って「肉食は健康に悪い」というのをよくおっしゃいますよね。それは、どういったものを見てそのような意見になっているのでしょうか」

ー彼は、なんと答えるのか気になった。

海月ダンテ「それはもう世界中で認められている事実なので。

加工肉とかソーセージに関しては、国際癌研究センターとかで、確実に発ガン性がありますと言われています。」

彼女もまた、生理が止まり、脱毛が始まったことで、病院でドクターストップを受けたのだ。しかし、ダンテさんからすると、それは違うらしい。

海月ダンテ「そういうのは妄想が多いですね。」

これ!これなんですよ。「それはもう世界中で認められている事実なので」とか「そういうのは妄想が多いですね。」とか、とても投げやりな感じがします。海月さんは恐らく日本語が母国語ではないと思われるので正確なニュアンスで伝えることができていないのかもしれませんが、「一次情報はどこですか?」という質問に対して「それは世界中で認められていることです」では回答になっていません。

この記事もこれだけ期間を設けて書いていらっしゃいますし、事前に海月さんへもインタビューの大まかなないようは共有されていたと思います。これこれについて知りたいので教えてください、といったアジェンダのようなものはあったのだと推測されます2

筆者さんの「一次情報が分からない」といった疑問が事前に共有されていたかは分かりませんが、「たとえば〇〇の〇〇大学が〇年に発表した論文では、肉食は~」みたいに裏付けとなる資料を提示されれば良かったのに、と思います。だってご本人が一度確認されている情報なのですよね?WEBメディアを通じて明確なエビデンスの所在をアピールできる良い機会だったのになぁ…と思います。

というかこれ、詭弁の特徴のガイドライン

資料を示さず自論が支持されていると思わせる

そのまんまじゃないですか…。

この後に、栄養管理士さんへのインタビューも掲載されています。栄養士さんへのインタビューでは文献が明記されています。文献は後から追加されたものだそうですが、少なくとも栄養士さんはインタビューを受けた時点では文献を用意していたか、文献の内容が頭に入っていたのでしょう。そうでないと「内容を変えないまま表現を変え、文献を全て記載する」なんてできませんからね。

この栄養士さんと海月さんの両者だけを見て「ヴィーガン派は非論理的!」と論うつもりはありませんが、個人的な印象としては正直それに近いものを受けました。

というか、そもそも海月さんの方も文献を載せるべきでは…。あちらの方もまだかなり主観的な意見になっているように見受けられますので…。

栄養士さん曰く、

誰にとっても一概にヴィーガン食が肉を含む従来の食事よりも優れているとは言えないし、その逆も言えないのです。

ヴィーガン食に挑戦するのであれば、専門家のサポートを受けながら行なってほしい

とのことです。感覚的ですが、私もこの意見には強く同意します。また、海月さんが発言された内容よりは、名前こそ出ていないものの顔も出されて実在性が担保されており、栄養士という肩書のこの方の考え方の方が信憑性があると個人的には思います。

ヴィーガンか非ヴィーガンかは個人個人でメリデメを判断し納得した上で選択すれば良いと思っています。そして、他の誰かに勧めるのであれば、せめて文献があるか自分の言葉で説明できた方が良いと思います。環境問題については確かに深刻ですが、私は強制されて菜食主義者になるよりも、各個人が自分の手足の届く範囲で少しだけ意識することの方が大事な気がします。なぜなら経験上、自分の意思と違うことを強制されても長くは続かないからです。


  1. 菜食主義をアピールしている方に向かって肉料理の画像を送るのは、かなり悪意のある嫌がらせ行為だと思います。 
  2. 私の想像です。なかったかもしれません。記事を読む限り筆者さんは記事に対してポリシーのあるように見受けられたので、あっただろうと推測しました。 

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