【夢日記】サイクリングスキーの夢

サイクリングスキーの夢

姉が沖縄旅行の招待券を福引で当てたが、姉は行く時間が取れないということで私が代わりに行くことになった。姉は現実には存在しないが、夢の中では存在していて認識していた。

夢の中では過去に一度沖縄に行ったことがある、ということになっていたので沖縄に行くのは二度目になる。以前行ったのは本島の方だったが、街並みは大正ロマンというか和モダンというかそういう印象だった。大通りを馬車が走っていて、男性はシルクハットに背広、女性は和服で着飾っているというような感じだ。と思ったら、これは以前見た別の夢の世界観を沖縄の記憶として思い出していた。こういう繋がりのある夢はとても珍しい。

本島には一度行っていたので、今回は離島にしてみようかなとTwitterで何気なく呟いたら、沖縄在住の方が検索から返事をくれた。「沖縄の裏口も結構楽しいですよ」とのことだった。裏口とはなんぞと調べてみると、どうも我々世間一般が認識している沖縄は表口であって、通は裏口から沖縄を楽しむらしい。

表口とか裏口とかは単なる滞在時に何をするかの違いであって、表口だとたとえばパラセーリングやダイビングなどのレジャーをしたり、観光したりということらしい。では裏口とは何かというと、それは体験した人以外には一切秘密になっているらしい。

ググると「沖縄の裏口が最高だった!!」みたいなブログがヒットしたので覗いてみたが、具体的なことは一切書いてなかった。というか、そのブログを運営している人がTwitterで私に裏口を紹介してきた人だった。

しかたがないので沖縄県の地域観光課みたいなどころに電話して、沖縄の裏口というものを紹介されたが裏口とは実在する概念なのか?どういった内容なのか?と質問すると、あっさり答えてくれた。全然秘密じゃないじゃん、行政が教えてくれたじゃん…。

いわく、「裏口は観光客には出されないような、流通規格外の食材などを使ったおもてなしや、裏口専用のサイクリングスキーがお楽しみいただけます。サイクリングスキーは全長30kmで10°ほどの傾斜を、自転車に乗って一切漕がずに降りていくというアクティビティです。皆さんにご満足いただいていますよ。」とのことだった。なんかすごい。

裏口には事前予約が必要であり、しかも大人気のためシーズンによっては抽選制とのことだった。さっそくそのまま電話で申し込むと、幸い今は空いているのですぐに予約できた。真夏などは倍率50倍ほどになることもあるという。

数日後那覇空港に着くやいなやスタッフの女性が「裏口のお客様ですね」と声をかけてきた。20代後半くらいで小麦色の肌と白い歯のコントラストが素敵な女性だった。「食事の準備にしばらくかかるので、まずはサイクリングスキーにご案内します」とのことで、私と他数人の観光客を小さなバスに乗せて、サイクリングスキー会場へ向かった。40分ほど移動すると、そこには緩やかな傾斜の薄い木の板のようなものが立てかけられていた。幅は50mはある。この上を自転車で行くらしい。板の下は海になっている。

「約30kmあるこのスキー台ですが、一本の樹から切り出した板を使っており継ぎ目がないんです」と自慢げに案内する女性。えぇ、30kmの樹ってもう世界樹じゃん。世界樹を伐採するなと思った。

その他、簡単な説明が少しあり、いよいよサイクリングスキーをすることになった。私に提供された自転車は、子ども用かと思うような小さな自転車。補助輪がついており、ドロップハンドルだった。なかなか特徴的な見た目だった。他の客の自転車も大小さまざまで、おそらく使われなくなった自転車を行政で回収してリユースしているのだろう。板から落ちたら海だったがライフジャケットのようなものは配られなかった。そもそも滅多に落ちないのと、海には常時クルーザーとライフセーバーが配置されているのでもし落ちても安全とのことだった。

「それでは皆さん、お好きなタイミングで出発してください!」と案内があると、すぐに私は出発した。乗ってみるとやや窮屈だが傾斜がついているので一切漕ぐ必要はなく、ハンドル操作のみで良いので思ったより楽だった。全然漕いでいないがすごい速度が出る。80km/hくらい出ていた。風がとても気持ちいい。10分ほどしてゴールが見えてきた。そういえばどうやって止まるかは説明されていなかった。まぁクッションの壁みたいなのがあるか、徐々に速度が落ちるようになっていると思っていたが、なんとゴール部分は大きく反り返ってジャンプ台のようになっていた。その先は海である。ブルーオーシャンである。

ジャンプ台によって成すすべもなく自転車ごと盛大に海へダイブした。私は泳げない、まずい…。と思ったが、すごく体が浮く。死海のように塩分濃度が高いのかもしれない。私が乗っていた自転車は水面に叩きつけられ大破していた。あぁ、どうせ一回で壊れるから新しい自転車じゃなくて回収品を使っているのか…と思った。

それにしても、風を切って降りていくのといい、ジャンプした瞬間のスリルといいとても気持ちよかった。これは確かに満足度が高そうだ。自転車に関してはすぐにスタッフが船で回収していった。もう一度やりたいのでスタート地点まで戻りたいと申し出ると、「参加はできるが移動手段は提供していません」と言われて、私はなくなく30kmの板を歩いて登って行った。そうやってサイクリングスキーを日が暮れるまでやっていた。