地毛証明書はひどいと思う

くせ毛や栗毛色「地毛証明」都立高の4割 生徒に届け出求める

上記記事を読みました。

いきなり余談ですが、このブログで「雑感」というカテゴリーにしている時事系のニュースは、「時事」とか「ニュース」みたいなカテゴリーにした方がいいのかな…と思ってきました。本当に雑感のつもりだったのですが、なんか雑感がメインになりつつあるような気がします。本来のコンセプトと外れているような気がしますが、まぁ「Twitterの140字では書ききれないようなことを書く」というのもコンセプトの一つなのでまぁよしとします。もしかしたらカテゴリー追加するかもしれません。

で、本題。こういうの、個人的にはなかなか許せない度が高いです。イカ忍ローラーにリスキルされることの許せない度が10、クシャミが出そうで出なかった時の許せない度が6としたら、許せない度4くらいはあると思います。

別に私が学生時代こういう目に遭ったとか、あるいは知り合いのお子さんがこういう目に遭っているとかではないのですが、客観的に見てなかなか許せないと思います。客観的にと書きましたが、学生時代の校則に苦しめられた身としては校則へのヘイトも混じっていると思います。中学・高校と携帯(当時はガラケーばっかりでスマホは少数派)の持ち込み禁止、髪型は短く切りそろえなければならない、みたいな校則でした。

携帯に関してはまぁわかりますよ。授業中使われたり、あるいはカンニングされたりということもあるでしょう。実際、家が遠い生徒に関しては朝教師に預けて夕方受け取り、帰る際に保護者と連絡を取るという目的で持ち込みが許可されていたようなケースもあったと記憶しています。個人的には休み時間とかに使う分には問題ないだろうと思っていましたが、まぁ不満ながらわかりますよ。

問題は髪型ですよ、髪型。スポーツ刈りか坊主以外認められてませんでしたからね。はっきりと人権侵害だと今でも強く思いますよ。私は特に高校の頃はギターを始めた頃でかぶれまくってましたから、髪も本当は伸ばしたかったんですよ。よく他校の友達とかと並んだ時、友達はまぁふつうの髪型な訳ですよ。方や私、坊主頭。ふざけんなよと思いました。殆どの男子生徒が同じような髪型。個性も何もない。百歩譲って教職員も同じような髪型をしていたのならわかりますよ。でも先生たちは普通にそこそこ長い髪形だったりする訳ですよ。しかも、髪を短くする理由が衛生面とか言ってた癖しやがって、A先生とかね、もう髪と髭が繋がってんの。正確に言うと、まぁ毛深い方だったんでしょうけど、髪ともみあげと髭が繋がって、なんか顔を縁取りしたみたいになってるんですよ。お、おま、おまえの、どど、どこが衛生的なんじゃあああ!!!って言いたかったよ私は。言わなかったけどね。でもあれは他の先生も含めてみんな思ってたんじゃないかなぁ。さすがに先生たちは先生たちで、「A先生、不衛生なので髪を切るなり髭を剃るなりしてください暑苦しい」とは言えないもんね。私も同僚にそんな人がいたとしても言えないと思う。言うとしても上長経由で言ってもらうと思う。つまり髪を切れ、髭を剃れという業務命令が発令される。すげぇな、その現場に遭遇したい。と書いたけど、でもこういう髪を切れ髭を剃れみたいなのがそもそも人権侵害のケがあるよねっていうのが今回のお話だと思います。また脱線してたので話を戻しますよ。

なぜ自分や親しい人が同じ目に遭ったという訳でもないのに許せないかというと、それはまさに

専門家は「時代にあっておらず、生まれつきの容姿の否定は存在自体の否定につながる」と話しています。

これに深く同意するからです。本当にひどい話だと思います。

地毛の色とか癖毛とか、それってもう一人の個性なんですよね。意図的に金髪にしたりパーマを当てたりしていて、それが著しく学校生活の規律を乱すというのならば校則で規制するのも分かります。というか校則はそうあるべきだと個人的には思います。生徒の個性を無理やり過度に縛り付けないと指導が出来ないというのなら、私に将来子どもができたとしてもそういう教育機関には預けたくないと思いますね。

そして地毛や癖毛がコンプレックスになっている生徒ももちろんいらっしゃることでしょう。それをわざわざ文書にして提出するというのは、これは立派なハラスメントだと思いますよ。私は普段なんでもかんでも「〇〇ハラスメント」と濫用するのはやめようよと思っていますが、にしてもこれは立派なハラスメントだと個人的には思います。

この届け出は

東京都教育委員会は「事実誤認による頭髪の指導を防ぐためで強制ではない」と説明している

とありますが、こんなもん任意と言っているだけで実質強制みたいなもんじゃないですか。「当日は楽な格好でお越しください」みたいなもんですよ。これについては後半に生徒のインタビューが掲載されていますが、

「提出しなかったら学校から目をつけられてしまうのではないかと不安に感じた」と話しています。

まさしくこの通りだと思います。届け出の用紙が用意されていて、提出する生徒もいれば提出しない生徒もいる。提出しない生徒には「なぜ提出しないのか?任意ではあるけれど、後ろめたいことがないのなら提出しなさい」みたいな感じで言っているかもしれません。その子の気持ちも考えずにね。ほんと胸糞悪いですよ。任意というのは建前で、実質的に怪しい生徒全員に提出させたりしてるのかもしれません。

たとえば髪を染めているかどうかは中長期的に観察してプリン髪になっていないかとか、そういう方法で洗い出して指導するみたいな方法はないんですかね。もちろん、地毛が黒で染めていない生徒からは不満が出るかもしれません。でも、生徒間の公平というのは「黒・ストレートで統一していること」ではなく「地毛のままでいること」だと思うんですよね。だからもしそういう不満が出たら、「あなたは黒髪だけど、もしかしたら本当はあの子は黒に染めたがっているかもしれない。でもみんな公平に、地毛のままでいるんだよ」みたいな指導をすべきだと思うんですよね。

中にはモンペとかがいて教師に圧力をかけているのかもしれません。上のように書きはしましたが、私は別に現場の最前線で頑張っていらっしゃる教師や教育機関の方々を貶そうという意図はありません。やり方に疑問を持ってはいますが、皆さんそれぞれ真剣に生徒さんに向き合っていらっしゃることだろうと思います。でもなんかモンペとか、地域のOB/OGのクレーマーとかが「最近の子はみんな髪染めてるんじゃない!?うちの子が可愛そうじゃない!!」とか「俺のころはみんな坊主だった!それが伝統だ!伝統は守れ!!」とか言ったりしてるかもしれません。そういうのも本当にやめてほしいんですよね。まわりまわってお宅のお子さんや地域のお子さんの迷惑行為になっているかもしれません。価値観をアップデートするのは、それまでの人生の経験や考え方が否定されるように感じるでしょうから大変でしょうし、アップデートしろとまでは言いませんが、でも自分が文句を言うべきなのか、圧力をかけて生徒に負担を強いてまで守るべきことなのか、みたいなことは考えていただきたいんですよね。

で、じゃあA先生の髭髪をどうにかしてほしかったという私の考えに正当性はあるのかというと、これはまぁ読者の皆さんにそれぞれ考えていただければいいとして、やはり個人的には周囲に配慮していないような極端はスタイルはある程度どうにかしてほしかったなとは思います。頭髪がない人に対して不快だから髪を生やせとは言いませんが(本人の力ではどうしようもないので)、髪や髭は切ったり剃ったりすればスッキリはしますからね…。そうやって「他人と関わる上でお互いに不快にならない程度には歩み寄りましょうね、それ以外は最大限個性を尊重するから」というところを指導のラインにして各種校則を設けてくれてたらよかったな、と思います。

結びの

なぜ、この校則があり、守らなければいけないのかを納得できるように学校は説明するべきだ。一方的に押しつける指導は生徒の思考を停止させるもので学校教育として、ふさわしくない。法律が時代に合わせて変わるように、校則も柔軟に変えていくべきだ

という言葉に全面的に同意します。