進撃の巨人の最終回が残念だった件について

はじめに

2021年4月9日を以て、進撃の巨人が完結しました。もともとは友人に勧められて6~7巻くらいまで読んでいて、そこからちょっと空白が空いて一気に読み、マーレ編あたりからは毎月並走してた、みたいな感じで読んでいました。割と良い読み方をしたのではないかと今となっては思います。

さて最終回の内容、軽く評判を見た感じでは「素晴らしい最終回」「見事な伏線回収」みたいな感じで割と好評な感じでしたが、個人的には「えっ、それでいいの?」的な感じでした。ので、まぁ軽くネタバレ等交えつつ書いていこうと思います。

なお、下記の内容はあくまで私個人の感想であり、私の意見が正しいとか、みんながこうあるべきだというような表明ではありません。私にとっては微妙だった、他の人は知らん、みたいなそんな感じです。また前述した通り軽くネタバレが入るのでお気を付けください。

不完全燃焼

結局何だったんだ?というのがいくつかあります。私が気づかないだけで回収されているのかもしれませんが…。

ざっと思いつくだけで、

  • 奇行種とは結局何だったのか
  • ミカサの頭痛は何だったのか
  • アッカーマンは何だったのか
  • エレンが硬質化を取得するに至ったヨロイブラウンは何だったのか
  • 赤子継承設定は死に設定だったのか
  • 巨人エレンがミカサを攻撃したのは何だったのか
  • ジークはどうやって不戦の契りを無効化したのか
  • ロッド・レイス巨人体の諸々の謎は何だったのか
  • 始祖ユミルの巨人の発端になったウネウネは何だったのか
  • エレン・クルーガーは誰から進撃を継承したのか
  • グリシャにはユミルの呪いが作用しなかったのか
  • 始祖グリシャはレイス家の残りを殺戮した時に記憶が目覚めなかったのか

別に全てが明らかになるべきとは思っていませんが、さすがに全然回収されてなくてきついです。特に、「ヨロイブラウンの瓶」「ジークの不戦の契りの無効化」「グリシャにはユミルの呪いが作用しなかった」「始祖ユミルの巨人の発端になったウネウネ」あたりは、正直この完結の仕方ではご都合主義にしか思えないです。

奇行種に関しては「全ての巨人が仕組み通りに動くわけではない」みたいな感じでサラっと触れられてはいたものの、個人的にはそうじゃなくてそもそもなぜ仕組み通りに動かないケースがあるのかを理屈をつけて説明してほしかったなぁと。

ミカサの頭痛、アッカーマンについても結局分からず終い。

ヨロイブラウンの瓶は、鎧の巨人がライナー・ブラウンということで何かしら関連性があったと思いますが結局分からないまま終わりました。もしかしたらアニ・ライナー・ベルトルトが壁内侵入後に何かしらの目的で壁内王家と手を組む必要がありライナーの脊髄液を提供したのか?なども考えましたが、それをするくらいならロッドレイスからグリシャの話を聞いてエレンをさらうのが手っ取り早かっただろうし結局謎です。なぜ硬質化の薬を持っていたか、なぜブラウンと書いてあったか。

赤子継承設定に関しては厳密には死に設定ではなくて、その設定があるからこそヒストリアの王家巨人継承みたいな話になったと思うのですが、せっかく登場しているならそういう話が出ても良かったのではないかと思いました。

ジークの不戦の契りの無効化に関しても、「不戦の契りの無効化に成功した」とだけ言われても、「えぇ…それどうなん?」って思いません?私は思いましたよ、それがありならなんでもありじゃんって…。

ロッド・レイス巨人対は、もともとヒストリアの為に用意された「最も戦闘に向いた巨人」になるための脊髄液を経口摂取しましたが、お前な、そんなのあるなら先祖の時点でさっさと使っとけや、と思います。何を勿体ぶっているんだ。また、そこで奇行種になるのもやはり分かりません。考察では、その前にヒストリアに投げ飛ばされており脊髄を損傷していたからみたいなのもありましたが、まぁこれも理由が名言されていない以上、やはりご都合主義感が…。

そして始祖ユミルが巨人になるに至ったあのウネウネも、結局なんなのか分かりません。後述しますが、あれが残っている間は他の巨人が出てくる可能性はあるのでは…。

エレン・クルーガーの進撃継承に関しても、たとえば進撃の巨人における年表|Wikipediaによると、グリシャの妹フェイが殺害されたのが817年で、グリシャが楽園送りになった=進撃をエレン・クルーガーから継承したのが832年とあります。

フェイが殺害された時にはエレン・クルーガーはマーレ軍にいましたが、13年の寿命を考えると当時はまだ進撃を継承していないはずです。つまりマーレ軍在籍時に進撃を継承したことになりますが、誰から継承したのかが結局分からず終いでした。当初はタイバー家が進撃も保有していて、エレン・クルーガーに継承させたのかと思っていましたがそういう訳でもなさそうです。

グリシャにはユミルの呪いが作用しなかったのかという点も、上記の進撃の巨人における年表を参照すると、グリシャが進撃を継承してからエレンに継承させるまでは13年に収まっているようですが、だとしたらキースの「20年以上前になるか…」という発言は完全に違いますね。それが確か850年くらいの話なので、実際は18年くらいでしょうか。まぁ正確に言っている訳ではないので辻褄はあっているのかもしれませんが、ここで読者を揺さぶる必要はあったのでしょうか…。

グリシャの王家接触ですが、グリシャはフリーダを捕食して始祖を継承した後に、残りのレイス家を殺戮しています。もちろんレイス家は王族なので、始祖を継承したグリシャが接触したら、エレンがヒストリアと接触した時のように過去と未来が一気に見えるような状態になると思うのですが、違うんでしょうか?最終話では、エレンが未来を見たのはそのタイミングとありますが、グリシャはエレンに対して「なぜ全てを見せてくれないんだ」と言っています。つまりグリシャは何も知らないままだった訳ですが、いやいや、レイス家と接触していたのなら見えていたはずでは?巨人になっている時は、始祖が王家と接触しても意味ない、みたいなことなんですかね。

最終話のツッコミどころ

  • ミカサがユミルの救いって余りにも突然すぎる
  • 始祖ユミルが初代フリッツを愛した理由、始祖ユミルにしか分からないにしても乱暴すぎでは
  • 血液検査で巨人になり得るかどうかまで分かるのか
  • ユミルの民が巨人になれなくなったとしても、ウネウネが存在する限り他の人間が巨人になり得るのでは?

まず、ミカサがユミルの救いになったというところ。いきなりきたな、と思いました。ユミルとミカサってほとんど接点がないように感じるのですが、どうしてそうなった?

そして、始祖ユミルが初代フリッツを愛したのも、理由は始祖本人にしか分からないとありますし、そりゃそうだとも思いますが、それを言い出したらなんのストーリー性もなくなるというが、ご都合主義になっちゃうのでは…。少なくともユミルの民を2000年にも渡って巻き込んでいたのですから、何かしらの説明がほしかった。だって進撃の巨人という話が始まった根幹の感情でしょう、それは…。

そして「巨人ではないことを証明しろ」と言われた後のアニ父の「血液検査なら…」という発言。え、血液検査で巨人になれるかどうかまで分かるのか?と思いました。まぁ巨人化学も色々と進んでいるのかもしれませんが、血液検査って単にエルディア人かどうかを判断するためのものとしか思っていませんでしたよ。だってそういう風な説明しかされてなかったんですから。もし血液検査によって、巨人になれる人間かそうでない人間かが、理由が「エルディア人だから」ではない別の要素で説明できるのであればそれを事前に読者に対して示されていないと、シュールなギャグになってしまうのでは…。

そして上でも少し書きましたが、始祖ユミルが最初に巨人になったきっかけのあのウネウネ、あいつがもしもまだ世界のどこかにあるのであれば、今後何かしらのきっかけで再び巨人が出現するかもしれないですよね。エルディア人は巨人にならなくなったっていうのは、あのウネウネも一緒に消えたということでしょうか?個人的にはそうは思いません。あのウネウネは始祖ユミルよりも上位の存在であり、仮に巨人にならなくなったというミカサ(ユミル)の願いによりエルディア人に何かしらの変化があったとしてもその上位の存在であるウネウネには干渉できないのではないかと思います。だからこうしてエレンたちの尽力もあって一旦は解決したのかもしれませんが、同じことは繰り返されるのでは…。まぁそれが大きなテーマなのかもしれませんが…。

最終回の良かったところ

ガビの照れ顔がめっちゃ良かった。ファルコとガビが幸せそうで本当によかった。