【夢日記】地下鉄の運転席直通エレベーター

地下鉄の運転席直通エレベーター

友人の妹の女子高生A子がアイドルだかタレントだかをやっており、A子が出演するTV番組で駅へロケを行うことになりついて行くことになった。地下鉄の駅で、巨大な商業施設となっている駅ビルと一体化している。

A子は結構知名度があるらしく、カメラに向かって駅の説明をしながら歩いたりしている間も、その場に居合わせた一般の人達がたくさん集まってついてきている。私は取材クルーの一員としてカメラや音声スタッフの後ろのプロデューサーだかディレクターだかと一緒に歩いており、ちょっとした優越感があった。

やがてA子が4階のとある従業員専用の扉の前まで来るとカメラに向かって「それではさっそく運転してみたいと思います!」と言った。え、運転すんんの?できるの?と思ったがその地下鉄はほぼ自動運転で非常事態に備えて一応運転手がいるだけ、みたいな感じだそうだ。なので本来の運転手も同乗することを条件に、1駅間のみ特別にA子に運転許可が下りたようだ。

にしてもなぜ4階なのだろうか。もちろんホームは地下にある。私は特にロケの流れなどは知らされておらずなんとなくついて来ただけだ。

A子が従業員扉から入ると、そこは小さな事務室とその横にエレベーターが2基ある空間だった。事務室には絶対顔採用だろという感じの童顔のショートヘアで「趣味はカフェ巡りと散歩です♪最近オークションアプリでカメラを買いました♪」とでも言わんばかりの森ガールっぽい女性が受付をしていた。絶対TVが取材に来てるから今日その子になってて、普段は60歳くらいのおっちゃん二人体制とかだろ、と思った。知らんけど。

なんでもこの駅は、地下鉄と駅ビルを行き来する客が極端に多く、施設内のエレベーターやエスカレーター、階段などはできるだけ利用客に使用してほしいということで、運転手はこの運転席直通エレベーターを利用して直接運転席へ行くらしい。そのエレベーターというのも一般的なエレベーターではなく、剥き出しで手すりとロープが貼ってあり辛うじて水平は保てる程度のものであった。進撃の巨人の序盤、補給塔の昇降機みたいな感じの作りだった。2基あるうちの片方が昇り専用、もう片方が下り専用とのこと。

A子はあまり興味なさそうだったがプロ意識は大したもんで、受け付けの森ガールに色々と質問をしていた。で、いざエレベーターに乗り込むというタイミングで事務室の奥から若い男性がやってきて、A子の付き添いで運転手を務める者だと自己紹介した。これも取材が来てるからめちゃくちゃイケメンをアサインしたみたいなそういう意図が感ぜられたが、私の立場は関係者という訳でもないので黙っておいた。

さっそくクルーがエレベーターに乗り込もうとすると重量制限のブザー音が鳴った。すごく簡素な造りのエレベーターなんだけどどこから音が鳴ってるんだろう…。このエレベーターはもともと運転手が最大2名程度乗り込むことを前提に設計されているので、明かな重量オーバーとのことだった。

仕方なくイケメン運転手とA子だけが乗り込んで、A子にはハンディカメラで撮影してもらうというプランになった。イケメンとA子が乗り込むとさっきの森ガールがナイフを取り出して、エレベータを吊っているロープを切ってしまった。2人は運転席に降りて行った。というか落ちていった。下の運転席はクッションになっているらしくケガの心配はないようだ。昇るときはどうするのかと問うと、紐を上から8本垂らして、それをエレベータに結わえ付けてもらい、引き上げるとのことだった。えぇ…。

TVクルーはやることがなくなったので、一足先に次の駅へ向かった。タクシーを呼び止めて8人くらいで乗り込もうとする。無理だろ。でも私以外がなんとか乗り込んだ。私が乗り込もうとすると、プロデューサーみたいな人が私の目をじっと見つめてくる。「お前は正式なクルーじゃないんだから自腹で来いよ。ていうかお前誰だよ。A子の家族ですらないだろ」とでも言うようだった。私はアイフルのCMのチワワのような目で見つめ返すが、しばらくの沈黙の後無常にもタクシーが出発してしまった。私はなんかアホらしくなりそのまま帰ることにした。

後日、そのロケの映像が放送された。A子に渡したハンディカメラはほとんど自撮りのアングルだった。運転室内の様子が全然わからない。A子によると運転席にはハンドルとかアクセルとかブレーキのようなものは何もなく大きい窓があるだけだったそうだ。運転席なのに制御できるものがないのか…というかそれじゃ緊急時に制御しようもないし人が乗る意味ないじゃん…と思った。運転席内はペプシコーラと雪の宿が飲み食いし放題だったらしい。